本日2/17に国立国際美術館にて「草間彌生 永遠の永遠の永遠」展を鑑賞しました。この展覧会は2012年4月8日(日)まで国立国際美術館にて開催された後、4月14日(土)から5月20日(日)まで埼玉県立近代美術館、7月14日(土)から11月4日(日)まで松本市美術館、11月10日(土)から12月24日(月)まで新潟市美術館への巡回が予定されています。いま内容や批評を読みたくないという人はここから下は読まないでください。
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草間彌生といえば、水玉や網目をモチーフにした作品が有名だが、今回は2004年以降に制作された、それまでの草間作品のイメージから大きく変化した絵画作品を中心に展示していた。
まずは『愛はとこしえ』と名付けられた50点のモノクロの絵画シリーズ。原画はキャンバスにマーカーペンで描くというシンプルな技法による作品群である(この展覧会ではシルクスクリーンで転写した版画バージョンが展示されていた)。2004年から2007年にかけて制作されたという。人の顔や眼や、生き物のような形の反復で画面を覆ったものが多いが、その密度の濃さとくっきりとした黒い線描に圧倒された。このシリーズの中では「宴のあと[SOXTE]」が空間とモチーフの密集のバランスが絶妙だと思った。また「愛はとこしえ[TAOW]」も様々なモチーフが散りばめられていて楽しい。「花咲けるニューヨーク[OPRT]」は大きなチューリップのような花を中心に、様々な草花が生えているようなリズミカルな作品だ。そして「青春の日々[YOZMTO]」は黒い三角形が並んでいて、夜の町並みのような雰囲気が面白いと思った。
そして次の展示室からは、2009年から現在まで続く最新の絵画シリーズ『わが永遠の魂』が展示されていた。こちらは色彩が加わり、さらに多様な展開が見られ、生き生きとしたエネルギーに満ちあふれた、迫力のある作品が並んでいた。この中では「心から生命の賛美をうたい上げたい」が赤と黒のバランスがとれていて美しい。また「果てしない人間の一生」はめまいがするほどカラフルで、虫や目のようなもの、斑点などで埋めつくされていて、見ていてうきうきした。また「花園にうずもれた心」は構成が面白く、大きな赤い花、緑の花が遠くから見ても迫力のあるものだった。赤一色の「地の果てにて」ピンク、青、黒で描かれた「いつかは死をむかえる」はどちらも眼や草や虫のようなもので画面が覆いつくされて絵に力が感じられた。そして「命の消滅」はこれまたカラフルで、濃密な世界が凝縮されていた。
このほか、新作のポートレートや、彫刻なども展示されていた。中でもLEDの光が次々と色を変えながら、無限に増殖しているように見えるインスタレーション作品「魂の灯」は、いつまでもその場にいたいほど美しい世界が広がっていた。
草間彌生の作品は、いのちがあふれているようだなあと、生きる喜びのようなものを改めて感じたのであった。