画像は展覧会のフライヤーです)
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本日7/27、京都市美術館にてバルテュス展を鑑賞しましたので感想を書きます。この展覧会は9/7まで京都市美術館で開催中です。いま詳しい内容や批評を読みたくない人はここから下は読まないでください。
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ピカソはバルテュスのことを「20世紀最後の巨匠」と評したらしい。バルテュスは他の芸術家が多様な表現を求めたときにあえて具象絵画を貫き通したし、またバルテュスは「私は芸術家という言葉は嫌いだ。私は画家、もっといえば職人だ。」という旨の言葉を遺している。だからその点において私とは正反対な画家であるわけだが(私は多様な表現をするし、私は職人ではない)、勉強になることは多いだろうと思い、展覧会を鑑賞することにした。
というわけで彼の絵も、私にとってはお気に入りはあまり多くないのだが、気に入った絵を箇条書きに並べてみる。
・「ミツ」バルテュス11歳の時の40枚の素描からなる、愛猫ミツの物語を描いた作品で、墨一色の素朴な表現ながら人物の表情、動作を豊かに描いている。
・「空中ごまで遊ぶ少女」空中ごまを見上げて両腕を広げる少女が快活な感じがして爽やかで好き。
・「12歳のマリア・ヴォルコンスカ王女」12歳にしては大人びた顔をして杖を持つ姿は威厳がある。きりりとした表情もいい。
・「おやつの時間」果物鉢に盛られたリンゴ、ナイフの刺さったパン、険しい表情の女。色彩が豊かだから好き。それにしても、バルテュスの絵はかなり計算されている絵が多いなあとつくづく思う。
・「窓、クール・ド・ロアン」明るい外の景色と、静謐な室内。こういう静かな絵にはとても心惹かれる。
・「横顔のコレット」描写が面白い。少女の顔や服から光が発せられているようで神々しささえ感じる。
・「樹のある大きな風景(シャシーの農家の中庭)」バルテュスは風景画もたくさん描いており、その中でもこの絵は冬の風景だが光に満ちていて素晴らしい。バルテュスが何よりも光がまず大事と言ったのもわかる。
・「朱色の机と日本の女」バルテュスは東洋の文化に興味を持ち、それが作品にも影響した。これもその一つ。モデルは節子夫人。何かを覗き込む仕草がずいぶんアクティブに見えるし、机の朱色もきれい。日本風に陰影をなくし平面的なのに、絵肌はフレスコ画みたいにざらざらというのが、東洋と西洋の融合だろうか。
こうして書いてみると、結構気に入った作品もあったなあと思う。会場ではアトリエも再現されていて、広くていいなあ、絵具の置き場所がたくさんあっていいなあとかうらやましく思った。
なんにせよ、絵を描くには何らかの信念が必要だろう。私の場合は、とにかく描きたいものを描きたいように描き続けることだ。そう再確認して、美術館をあとにした。